さて、第2回照明コラムを始めます。
今回のテーマは「上手な空間の使い方」です。

まずは「上手な空間の使い方」について。
「空間」ってのはステージ上全ての事。上手から下手、手前から奥。
つまりは我々照明陣が照らす範囲すべて。
ではどのようにすることが「上手に空間を使う」と言うことになるのでしょうか?
それを考えるにあたって重要な事は「ステージ上のバランス」です。

この「バランス」ってのは見た目のバランス。
例えば、全てのライブにおいてステージってのは「演者が立つ場所」ですね。
演者が立てば必然的に舞台の床側が視覚的に重くなる=重心が床に寄るんですね。
これはバランスが悪い。
ここで登場するのが「ロゴ」や「吊り物」です。
これらを天井側に吊るすことによって視覚的重心を天井に引き寄せ、バランスをとるんです。

「ロゴ」はただライブの名前を売るためだけに作るわけじゃないんです。
少なくとも俺と俺のライブのデザインチーフはそう考えました。
試しにロゴ無しのライブを想像してみてください。ものすごくバランス悪いから。

ではこれを照明に当てはめて見ましょう。
今回、奥FOOTという新しいライトを使いましたね。
あれは舞台床面に置き、客席に向かってアオルという効果がありますね。

これを単体で照らすと、せっかくバランスが取れていた空間が再びバランスを失ってしまいます。
ではこれを解消するにはどうしたらよいでしょうか?

1つには、吊り物のアオリを入れること。
今回、2サスには客席から灯体が見えるように吊ってありましたね。
アレをアオってバランスをとる方法。

もう一つはホリ当てを使う方法。
「ホリ当てはホリ全体を照らすじゃないか!」と思った方。早まるなかれ。
よく見て下さい。ホリ当ては床から照射しています。
つまりホリ当ての光は床側が細く天井側が太くなっているんです。
それに下から上に流れる感じも床側の重みを天井側に流す効果があります。

できたら自分で作った照明案を、無理なら誰かの照明案を見てみて下さい。
バランスの悪い照明はどこか気持ち悪いはずです。

今回のテーマは自分で考え出したわけではなく
サマーに来てくださったOBの築地さんのご指摘を受け、そこから自分なりに考えたものです。
照明は色やタイミングだけではない。
そう思い知らされた築地さんとの会話でした。

次回は「サマーライブ後記」か「インパクトについて」をお送りします。